
【研究発表1】
「生徒一人一人が目標をもって主体的に取り組む活動を求めて」
松田篤先生
1 はじめに
昨年の長崎大会におきまして、シンポジストとして出席された国見高校の小嶺先生から、指導者としてまず第一に考えなければならないことは、学年に関係なくすべての部員に練習の場を保証してやることであるとお話がありました。さっそく部活動担当者会議を開き、このことについて話し合いました。その結果、大部分の部活動担当者から「できれば、1年生から3年生まで同じ条件でやらしてあげたいが、我が校のように部員数が多い割に活動場所や活動時間が、非常に厳しい制限を受けている現状では、どうしても3年生を中心とする上級生の活動に大半がいってしまう」というような話がありました。非常に難航したわけですが、ただ最後に野球部の先生が「折角松田がそういうふうに提案してくれたんだから、何とかこれからは互いに情報を交換しアイデアを出し合いながら、学校全体として生徒一人一人が目標をもって自主的に取り組む活動というものを目指して頑張って行こうじゃないか」という提案があり、部活動指導者全員に了承して頂きました。それ以来、皆さんの学校では既にやっていることとは思いますが、我が校では月に1〜2回は部活動担当者会を開き、互いの取り組みについて情報を交換しあっています。本年度は4月から各部共通実践事項として、特に次の4点について力を入れて取り組んでおります。
(1)個人ノートや力一ドをつくり、それを効果的に活用する。
(2)部の単位で練習計画を立案し、子どもたちに提示する。
(3)部活動日誌をつけ、効果的活用を図る
(4)練習場所や練習内容を工夫する。
それでは、実際に取り組んだ2つの部について、軟式野球部と女子バレー部を紹介します。
特に私も指導者のひとりとして携わっている軟式野球部を中心に話たいと思います。
2 野球部の取り組みについて
(1) テーマに迫るために
秋田県では、野球は、根強い人気があります。それゆえ野球部は部員も多く集まり、活発さでは他にひけを取らず、例年意欲的に運営されています。しかし、反面、部員の多さとグランドの使い方・練習の仕方から、必ずしも一人一人が生かされた練習がされているとは言いがたく、レギュラーの陰で入部はしたものの、納得を得ずして3年間を過ごしてしまった卒業生が多々あるのではという心配がありました。このことから、学年や個々の能力に応じて、1日の練習過程の中で、課題解決に向けての練習の場を工夫させることによって、これらのことを解消し、マンネリ化しやすい練習に変化を持たせることができるのではないだろうかと考え、活動内容の工夫に取り組んで来ました。
(2) 具体的活動内容
?練習場の工夫と学年に応じた練習内容の工夫
陸上競技場と野球場が別にあり、一定のグランドの広さの野球場を持っているわけですが、人数が93名おり難儀しています。一定のグランドの広さの中で部員が、いかに学年や個々に応じた練習場所を確保するか、練習過程との関係から次のように工夫させ、実践してみました。それが次のぺ一ジです。(紀要50頁)
資料(1)が練習場の工夫です。指導者が場面を提示するのではなく、図のように子どもたちのアイデアを取り入れ、子どもたちがどのようにやりたいかということで、野球場を各練習メニューによって区切ってみました。これらの練習場所は、練習過程や練習内容との関係から、学年や手のあいた個人のローテーションで使用しています。ようするに「スロ
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